アルミニウムはマグネシュウム(Mg)等の元素を添加することにより強度を高くすることができ、耐食性、加工性にも優れ、軽量で美しく、デザインの多様化に対応できる等、優れた特性をもっています。
アルミニウムの比重は2.7で鉄の7.8に比べると約1/3となり、工業的に利用できる金属材料の中ではマグネシュウムについで軽く、アルミニウムに他の金属元素(Mg,Mn,Cu,Si,Zn)を添加することによりアルミニウム合金となり、さらに加工、熱処理を組み合わせることにより強度の高い材料を作ることができます。その中でもAl-Mg系合金(5000系)とAl-Mg-Si系合金(6000系)は土木、建築用として最も多く利用され、その強度と軽量性を併せて考えると、単位重量あたりの強度に優れた材料で、軽量化が要求される分野で広く活用されています。
5000系の合金は耐食合金として知られ、中でも5083は溶接構造用として歩道橋、水門等の土木関係、船舶、車両、圧力容器に使用されています。また5052は中程度の強度をもった合金で加工性が良く一般板金、車両、建築用として使用されています。
6000系の合金は6063、6061に代表され、6063は押出し性が良く、効率的な自由断面を作ることができデザインの多様化に対応できます。一般的に鋼製品と比較し軽量化がはかれ、建築、土木用に適しています。6061は熱処理を施すことにより鋼材と同等の強度を持たせることができる上、押出性も良いことから陸上構造物に適した合金です。
アルミニウムは空気中で自然に酸化しやすく、表面に耐食性の良い緻密で安定的な自然酸化皮膜を生成します。この皮膜が腐食を自然に防止するため耐食性に優れているのです。これを自己腐食防止作用といい他の金属には見られない特性のひとつです。
耐食性をさらに高め、強度も兼ね備えたアルミニウム合金(Al-Mg系、Al-Mg-Si系)は構造用材として広い分野で使用され、この特性が大いに活かされています。マグネシュウム(Mg)は耐孔食性を向上させる効果と酸化皮膜の成長を促進する効果を持つため、Al-Mg系合金の耐食性は優れており、特に塩素イオンの多い環境での耐食性が良いと評価されています。
アルミニウムは加工性に優れた金属で、さまざまな形状のものをつくることができます。中でも押出形材は熱間押出加工により、中空形状を含めあらゆる形状の製造が可能であり、押出材を成形加工したり、切削や溶接することも比較的容易です。また、アルミニウムは鋳造性が良く、軽量で複雑な形状の鋳物材の製造が可能であるため鋳物材を押出材や板材と適切に組みあわせることにより、都市機能や周辺の環境構造体に調和するデザイン性に優れた照明ポールや高欄などの土木製品を製造することができます。
アルミニウムは生地のままでも自然環境において耐食性に優れ美しく近代感覚にあふれた金属ですが、表面を硬くしたり、防食効果を高めたり、装飾効果を上げるために化学的、電気化学的表面処理や塗装などさまざまな表面処理が用いられています。中でもアルマイトの名で知られている陽極酸化皮膜を施すことにより、より美しく、かつ耐食性、耐摩耗性を飛躍的に高めることができます。従ってデザインや機能にあわせた表面処理をすることにより建築内外装や高欄、照明ポールをはじめとする道路製品など幅広い分野で使用が可能となります。
アルミニウムは上記の他にも次のような数々の優れた特性があります。
材質 | 引張性質 | ブリネル 硬さ (HBS 10/500) |
疲れ強さ (N/mm2) |
|||
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引張強さ (N/mm2) |
耐力 (N/mm2) |
伸び(%) | ||||
板 (1.6mm厚) |
棒 (12.5mm径) |
|||||
5052-O | 195 | 90 | 25 | 27 | 47 | 110 |
5052-H32 | 230 | 195 | 12 | 16 | 60 | 115 |
5052-H34 | 260 | 215 | 10 | 12 | 68 | 125 |
5083-O | 290 | 145 | - | 20 | - | - |
6061-T4 | 240 | 145 | 22 | 22 | 65 | 95 |
6061-T6 | 310 | 275 | 12 | 15 | 95 | 95 |
6063-T4 | 170 | 90 | 22 | - | - | - |
6063-T5 | 185 | 145 | 12 | - | 60 | 70 |
6063-T6 | 240 | 215 | 12 | - | 73 | 70 |